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zoom RSS わたしがALWAYSだ

<<   作成日時 : 2007/11/23 19:06   >>

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おかま

あれは、
なんのオガクスだったのか?
目に入ると痛いほど
こまかい木の粉が、高く高く
天井まで積まれた広い土間。
ぬくい木の匂いがする
黄色い山を登って、
てっぺんから掘っていくと、
かぶと虫のサナギが出たこともあった。
その銭湯の窯焚き場が、
父親の職場で、
ぼくの遊び場だった。

そこから、いつも見ていた。
古い作業台の上に、
雑音まじりのラジオが一つ。
水の入ったやかんが一つ。
朝早くから、夜中まで、
父親は、働いていた。
大きなくま手で山を崩し、
箕(み)という、
竹で編まれた大きなちりとりで、
オガクズを掬っては窯にくべる。
ただ、その繰り返し。
火はゆっくりと燃えるので、
父親は、たまに居眠りをしたり、
子どもでもわかるでたらめな英語で、
ジャズを歌ったりしていた。

小学校の一年生の教室で、
大塚秀雄先生が、
黒板に「たからもの」と書いた。
みなさん、あしたは『こどもの日』です。
おうちに帰って、
お父さんお母さんに尋ねましょう。
きっと「子ども」だと言われますよ。
走って帰って、
にこにこしながらきいてみた。
「おとうちゃんの宝物て、なんや?」
父親は、ゆっくりと、指さして、言った。
「この――、おかまや」

つぎの日、銭湯に入っていたら、
裏口から父親が、のそっと入ってきた。
汚れた作業着の窯焚きが現れたので、
客はみんな、変な顔でじろじろと見た。
ぼくは、とりつくろおうと、
「おとうちゃん」と言って、
手に触ろうと駆け寄ったら、
怖い顔で、思い切りぶたれた。
はずみで倒れ、少し泣いた。
母親は番台から見ていたそうだ。

夜は卓袱台に、
出前のオムライスが置かれた。
とても珍しいことだった。
両親は、素うどん。
何も言わないで、三人、食べたが、
ボクの口元についたごはん粒に、
父親が手を伸ばして、つまんで食べた。
むつかしい顔のままやった。
母親が、くすっと笑ったので、
ぼくも、笑った。

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