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zoom RSS わたしが「笑わない子」だ。

<<   作成日時 : 2008/01/19 22:15   >>

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子ども 四、 歩道橋         


テープカットの後、
小学生には色とりどりの
宙に浮く風船が手渡され、
校長や お偉いさんを先頭に
鼓笛隊が続く渡り初めがあった。

黒い額縁の写真を持った母親もいて、
しきりにハンカチで目をぬぐった。
賑やかな式典に見える葬列。
写真の中でほほ笑む女の子は
車に轢かれ亡くなっていて、
その弔いの証しのように
歩道橋はつくられた。

その夜、
ぼくはサトシと
真新しい歩道橋に登った。
ペンキの匂いが強い手すりから顔を出し、
ふたり並んで車の流れを見ていた。
ヘッドライトの光が幾筋も
足元に吸い込まれていく。
もう何台の車に 
ぼくたちは轢かれたのだろう。
「こどもでも しぬんやな」
ぼくが そう言うと、
「うん」
サトシは答えて、
怖くなったのか少し泣いた。

それからは
なにも話さず、
家は離れていたので、
橋の向こう側とこちら側に、
別れて帰って来たが、
なぜだか それきり、
サトシと会った記憶がない。

のんきに遊んだ帰り道に
ふと覗きこんだ暗い淵を
あの子はどうしたろう。
ぼくは、
どんなに楽しいことも
苦しみも
この強い恐れに帰りつくのだと
心からは笑わない
泣かない子どもになった。
青年になり
愛しいひとと出会うまで
虚無はそばにいて
ぼくを守り続けた。

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コメント(2件)

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虚無がそばにいて、守りつづけてくれた「僕」は、どんな「ぼく」だったのだろう。
HIRO
2008/01/20 13:05
少ない字数では書けませんが、
わたしの両親は、
世間から、いわれのない差別を受け続けた人たちでした。
ですから、
わたしも、それなりに、
心を閉ざしながら育ちました。
「周りから、どんなにひどいことをされても
知らん顔をしていること」
自分の価値とは、何も関係がない。
「どうせ、みんな死ぬんや」
そう言うとき、
死観というか、「虚無」は、
とても優しくて、便利なものでした。
でも、
〃恋〃には勝てませんでした。(笑)
みおよしき
2008/01/20 13:53

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