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zoom RSS わたしがポロピレポロンだ

<<   作成日時 : 2007/11/25 09:38   >>

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六弦の微笑み


狩りのあと、
男たちは、
嵐が近いのか
おどろしい雲が渦巻く西の空に向かって、
弓に矢をつがえず弦打ちして邪気を祓った。

そんなふうに弦楽器は、
中でもギターは、
男が奏でるものと思い込んでいたので、
ブラウン管で
あなたを見た時、
つめたい新らしい空気で
ぼくの胸は満たされた。

ギター奏者、
『村治佳織』
短く切りそろえた爪の指は、
左の方が8ミリほど長く
指先についた筋肉は、もりあがり、
職に慣れた手の風格がある。
短い髪は、風まかせのざんばらに、
鋭い視線が、まっすぐに人を見て、
すぐにふっと、微笑みにかわっていく二十一歳。

『ホアキン・ロドリーゴ』という人も
『アランフェス協奏曲』も知らなかったぼくが、
一枚のCDを買った。

スペイン内戦時に作られ、
1940年に、初演されたこの三楽章の、
明るみと、深い憂い。

奏者は座り、
左足は踏み台にあげ、
足を開き、ギターを抱いて弦を見据える。
少年が、いとおしいひとを抱きかかえ、
静かに語りかけるように、
人が安らぎ定まった姿に見える。

第二楽章が始まる。
「生まれてはこなかった子どもと
 妻を思い書かれた曲が、
 若い私に弾けるだろうか?
 だったら わたしは、
 マエストロRodrigo。
 あなたに出会えた嬉しさで弾く。
 ベッドに横たわる九十歳を想っていたわたしは、
 ピアノの側の椅子に座る、
 かくしゃくとした あなたに驚いて、
 握手された手の暖かみのまま、
 ギターを奏でていました」

半年後のスペイン、
ロドリーゴの墓石には何も思いはなく、
出会った部屋の
ピアノと椅子に手を合わせてきたという
少女の素直な感性のまま、
アランフェス、
豊かな水辺と、
森の吹きぬける
風を想って、
かき鳴らす指が、
いま、最後の一音を
爪弾くところだ。

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